山梨県・鳴沢村の周辺で、特に人気の観光地といえば、国指定の天然記念物にもなっている「鳴沢氷穴」と「富岳風穴」。
富士山の噴火によって誕生したこれらの神秘的な溶岩洞窟は、国内外から多くの観光客が訪れる大定番スポット。近年では外国人観光客にも大人気で、平日でも行列ができるほどの賑わいを見せています。
鳴沢氷穴・富岳風穴ともに、年間を通して洞内温度が0〜3℃ほどと涼しく、真夏の避暑スポットとしても人気。子供から大人まで、手軽に冒険気分を味わえる観光体験ができるのが魅力です。
今回は、この2つの溶岩洞窟の成り立ちや見どころを深掘りしながら、周辺で合わせて楽しめる観光スポットもご紹介します。
鳴沢氷穴とは?
鳴沢氷穴の歴史

鳴沢氷穴は、溶岩流の冷却の際に、溶岩内部でガス溜まりを形成し、そのガスが抜けて空洞になったことで完成しました。
西暦864年6月に起こった貞観大噴火(長尾山の大噴火)
日本一の高さを誇る富士山は活火山として有名ですが、実は、現在の美しい姿は、富士山が過去に何度も噴火し、その溶岩などが何重にも重なってできたものです。
そして、「貞観大噴火」は、そんな富士山の噴火史のなかで最大の被害があったとされており、今でもその跡を見ることができます。
特に有名なのが、観光地としても人気の「富士五湖」です。
河口湖・山中湖・西湖・精進湖・本栖湖の5つの湖として知られていますが、貞観噴火以前は4つの湖でした。
現在の本栖湖・河口湖・山中湖のほかに、「せのうみ」と呼ばれる巨大な湖がありました。
「貞観大噴火」で噴出した大量の溶岩流は「せのうみ」を分断し、小さな2つの湖を残しました。
これが、精進湖と西湖です。
このように、地形にも変化をもたらした溶岩流によって、鳴沢氷穴は形成されました。
形成後は天然氷の採取貯蔵などの開発が進められ、1900年頃〜1937年頃まで、蚕種貯蔵が主に行われました。
1929年12月には国の天然記念物に指定されています。また、1965年頃には、洞内の氷が溶けてできた地下水が井戸で汲み上げ、生活用水として使用されていました。
戦争中は観光客が途絶え、入口附近は氷で埋まり、人の出入りは出来なかったと言われています。
全長153mの溶岩洞穴の世界へ!

まずは受付で入場券を購入し、進んでいきます。
下りは91段・登りは101段と長く、地下21mで洞窟の温度は0-4度!ヘルメットの貸出も行っており、そのくらい中が狭い場所ということが分かります。

早速、中に入ると見えてくるのは天井高91cmの溶岩トンネルのエリア!身長が低い人でも、かなり前屈みの体制で進む必要があります。
地面もツルツルしていて滑りやすく、スロープを掴んで、気をつけて前に進みます。

このエリアを抜けてくると見えるのは、地獄穴。
どこまで続いているのか確かめられない穴となっていますが、伝説によると神奈川県の江ノ島まで続いているとか。

樹海には龍神様がいる?
鳴沢氷穴には祠が2箇所あります。
1つは、古くから青木ヶ原樹海にすまわる龍神様である黒龍神の祠。
そしてもう一つは、地獄穴が江ノ島の洞窟まで繋がっているという伝説から、江ノ島神社の神様である弁財天様と白龍神の祠です。
そして、氷穴の断面図を見ると、なんと龍の形に見えるのがこの鳴沢氷穴の特徴!
さらに、氷穴の内部の溶岩トンネルは、龍のお腹の中にいるかのような形に見えるのも見どころです!
洞内では、氷柱状に固まった溶岩「溶岩鍾乳」を間近で見ることができ、その神秘的な姿に思わず息を呑むはず。
さらに、冬から秋にかけては天然の氷柱が見頃となり、ひんやりとした洞窟の中に浮かび上がる幻想的な光景は、他では味わえない非日常体験です。
洞窟のすぐそばには売店もあり、観光の合間にスイーツタイムを楽しむのもおすすめ。
- 山梨の銘菓「信玄餅」がトッピングされた信玄パフェ
- 鳴沢村特産のブルーベリーを使用したブルーベリーパフェ
など、ここでしか味わえないご当地スイーツを堪能できます。
所要時間は約15〜30分程度と、気軽に楽しめるコンパクトな冒険。ただし、洞窟内は非常に狭く、場所によっては高さ91cmほどの箇所もあるため、しゃがんで進む場面もあるので注意が必要です。
【鳴沢氷穴】
住所 | 〒401-0320 山梨県南都留郡鳴沢村8533 |
---|---|
電話番号 | 0555-85-2301 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 12月のみ不定休、その他年中無休 |
料金 | 大人¥350(小人¥200) ※2025年3月現在 |
HP | https://www.mtfuji-cave.com/contents/ice_cave/ |
富岳風穴とは?
富岳風穴の歴史

溶岩流の上部が先に固まり、下部の溶岩がそのまま流れ続け、その間に出来た隙間が固まって出来た空洞が富岳風穴。
洞穴は気泡の多い玄武岩でできているので、音が反響しないのが特徴です。
洞底には水が溜まり、冬期に結氷したまま夏を過ぎても溶けることがないため、常に洞内の温度が平均3度!1929年12月には、国の天然記念物に指定されました。

富岳風穴の世界へ!
まずはチケットを購入!先ほどの鳴沢氷穴で共通チケットを購入した人は、チケットを提示すれば入場可能です。こちらでもヘルメットの貸出を行なっていました。

階段を下がり、中に入っていきます。入口階段の下は、天井が低くなっているので注意が必要です。

次に見えてくるのは、溶岩棚。洞穴内の表面付近が冷え固まる過程で、冷え切らない流動性のある表層の溶岩が棚状を示す形態です。

こちらは縄状溶岩。溶岩が流れた際に、先に冷えた溶岩の後に溶岩が順次押し寄せてしわの様になり、縄を束ねたような形で固まっている溶岩です

この洞穴のメインとして一番奥に展示されているのは、蚕・種子の貯蔵庫!
1955年頃まで実際に使われていた貯蔵庫で、蚕の卵などを保存するために作られました。

最深部では、ひかりごけと言う珍しい苔をみることができます。
ひかりごけとは、珪酸華のことで、光を当てることでエメラルド色に反射しています。
青白く光るその光景は神秘的で、非日常を体験できます

こちらも、洞穴の外には売店が!
山梨県名産のとうもろこしを使った、とうもろこしソフトクリームやとうもろこしパフェなど、ここでしか味わえないデザートを味わうことができます。
風穴のオリジナルグッズの購入もできますよ!

【富岳風穴】
住所 | 〒401-0332 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1 |
---|---|
電話番号 | 0555-85-2300 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 12月のみ不定休、その他年中無休 |
料金 | 大人¥350(小人¥200) ※2025年3月現在 |
HP | https://www.mtfuji-cave.com/contents/wind_cave/ |
合わせて楽しめるスポット紹介!
東海自然歩道

「鳴沢氷穴」と「富岳風穴」を訪れるなら、ぜひ一緒に楽しんでほしいのが、両スポットを結ぶ「東海自然歩道」。
この自然歩道は、富士山麓の青木ヶ原樹海を通る全長約1.7kmの散策路で、自然豊かな樹海コースの一部として人気です。
「鳴沢氷穴」から「富岳風穴」までは、徒歩で約20分。このルートは歩きやすく整備されているため、登山装備がなくても気軽にトレッキング気分を楽しむことができます。
ゴツゴツとした溶岩地形の道や、静寂に包まれた深い森を歩くと、まるで時間が止まったような感覚に。
まさに富士の自然を肌で感じられる体験です。
道中では、運が良ければ以下のような希少な野生動物や昆虫に出会えることも!
- 可愛らしいさえずりが響く「コマドリ」などの野鳥
- “生きた化石”とも呼ばれる「ムカシトンボ」
青木ヶ原樹海ならではの静寂と神秘的な雰囲気の中で、五感を研ぎ澄ませて自然観察を楽しめます。

この「東海自然歩道」は、実は日本全国にまたがる全長1,697.2kmの超ロングトレイル。
- スタート地点:東京都八王子市「明治の森高尾国定公園」
- ゴール地点:大阪府箕面市「明治の森箕面国定公園」
なんと、1都2府8県を横断する壮大な自然歩道として整備されており、ルートを辿れば、富士山から京都・大阪まで旅することも可能!
「富士山の麓をきっかけに、歩いて関西まで…」という夢の旅の第一歩にもぴったりですね。

樹海巡り

青木ヶ原樹海にある2つの有名な溶岩洞窟(富岳風穴・鳴沢氷穴)を訪れたあとに、さらに樹海の自然や歴史を深く知りたい方におすすめなのが、ガイド付きの「樹海散策ツアー」です。
出発地点は、山梨県最大級のヴィラ&グランピング施設「グランピングヴィレッジ富士河口湖」。温泉付きの客室やプライベートBBQを楽しめる宿泊施設から気軽に参加できます。
ツアーでは、専門の自然ガイドが同行し、青木ヶ原樹海の成り立ちや火山活動の歴史、そこで生きる動植物の生態などを詳しく解説。ただ歩くだけでは分からない、奥深い樹海の魅力に触れることができます。
富士山麓の自然を満喫したい方、家族旅行や学びのあるアウトドア体験を求めている方にぴったりのアクティビティです。
【神秘の森 樹海散策ツアー】
住所 | 集合:グランピングヴィレッジ富士河口湖 |
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電話番号 | 070-4484-5408 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
定休日 | 11月~3月 |
料金 | 大人¥350(小人¥200) ※2025年3月現在 |
HP | https://yamanashi-activity.com/activity/sea-of-trees_explore/ |

まとめ

今回は、1200年以上前から存在する国の天然記念物「鳴沢氷穴」「富岳風穴」を紹介いたしました。
料金は、両洞窟セット券で¥600(小人:小学生以下は¥300)になるので、セットで回るのがオススメ!※2024年9月現在
一年中氷があるわけではないため、天然の氷を見たいという方には、春か夏がオススメ!
洞窟内は、スニーカー等の靴でないと滑りやすいので注意してくださいね。
洞窟巡りに最適な宿泊施設も、合わせてチェックしてくださいね!
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