歴史と信仰が融合した富士山信仰の拠点「北口本宮冨士浅間神社」特集

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2013年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されている「北口本宮冨士浅間神社」。

富士山信仰の中心地として、多くの人々が祈りや修行のために訪れ、壮麗な建築物や自然の神秘に触れることができます。

日本三奇祭の一つ「吉田の火祭り」の開催地としても知られ、歴史と文化、自然の魅力を存分に感じられるパワースポットです。

富士山登山の安全祈願をはじめ、縁結び・安産・子宝・家庭円満などのご利益があることも人気の秘訣。

今回は、そんな信仰の歴史などを体感できる北口本宮冨士浅間神社の見どころを紹介します。

Contents

北口本宮冨士浅間神社とは?

北口本宮冨士浅間神社きたぐちほんぐうふじせんげんじんじゃは、1900年もの歴史があり、山霊をまつってきた最古の神社です。

日本の神話上の人物である「日本武尊やまとたけるのみこと」がこの地を訪れた際に、「北方に美しく広がる裾野をもつ富士は、この地より拝すべし」と仰せになり、これに従って現在の大鳥居や祠が建てられ、創建になりました。

当初、富士山のような高くて美しい山は、「神のいる山」として、人が入ることは禁忌きんきでした。

そのため、北口本宮冨士浅間神社は、ご神体である富士山を遠くから仰ぎ見ながら、祭祀さいしが執り行われる場として親しまれていました。

現在も、拝殿を囲んでいる巨木の数々から、その神々しさを感じることができます。

その後、平安時代に山岳信仰が普及し、富士山へ登拝し修行することを目的とする「富士山信仰 (富士講)」がブームとなった江戸時代から現代にいたるまで、富士信仰の拠り所として親しまれています。

登山の無事を祈る神社という役割も担い、今も昔も、登山前には神社で無事を祈り、無事下山した後はお礼の祈りをささげる人々も多いとか。

また、毎年8月26日・27日に行われる日本三奇祭の一つ「吉田の火祭り」の開催場所でもあり、祭りでは大松明おおたいまつが焚き上げられることで知られています。

祭神さいじんは、安産・火防・富士山の女神である「木花開耶姫命このはなさくやひめのみこと」、木花開耶姫命と強い絆で結ばれた夫婦神である「彦火瓊瓊杵尊ひこほのににぎのみこと」、そして、全ての山の神様であり木花開耶姫命の父神様である「大山祇神おおやまづみのかみ」です。

上記、三柱の神々より、縁結び・安産・子宝・家庭円満などのご利益があると言われています。

北口本宮冨士浅間神社の見どころは?

角行の立行石

神社に向かう参道には、杉の木と石灯籠が並ぶ神秘的で不思議な光景を見ることができますが、その参道の途中に見えてくるのが角行の立行石

国指定史跡にも登録されており、「富士講」の開祖である長谷川角行(当時69歳)が、酷寒の中を裸身でこの石上に爪立ちして、30日の荒行をしたとされているものです。

荒行中、全身から血を噴き、里人の勧めでようやく行を止めたという伝説も残ります。

その後、この行為は角行の信仰心の象徴として広まり、多くの信者が彼の足跡を辿るために同じ地を訪れるようになりました。

「富士講」の聖地の一つとされ、信仰者たちが修行や祈願の場として大切に守り継ぎ、彼の信念の強さを感じられる場所として、訪れる人々に深い感銘を与え続けています。

大鳥居

約300mの長い参道を抜け、見えてくるのは荘厳さと神聖さを感じる大鳥居

高さは18mで、木造鳥居としては日本最大級の大きさを誇ります。

写真では伝わりきらない、実物の圧倒的な迫力に、思わず心を奪われることでしょう。

この鳥居をくぐることで、一層神聖な空気に包まれる体験ができます。

手水舎・神楽殿

手水舎は、富士山の溶岩から削り出された巨大な水盤石すいぼんせきや龍のモニュメントなど、装飾性に富んでいます。

泉瑞せんずいと同じ水源から引かれた冷たい雪解け水で手を清めると、気持ちが凛と引き締まるように感じられます。

泉瑞とは?
1193年、鎌倉時代。鎌倉幕府の初代将軍である源頼朝が、喉が渇いた際に、矢を地面に突き立てたところ、水が湧き出したという伝説の地が「泉瑞」です。
富士山を信仰する人々の集まりであった信仰集団「富士講」の「内八海巡り」の巡礼地の一つにもなっています。

内八海巡りとは?
富士講の修行として知られているのが、富士山の御神徳を拝しながら登山する「富士山登拝」・富士山五合目周辺を一周する「御中道おちゅうどう周拝」・富士山を取り巻く八つの湖を巡る「内八海巡り」です。
内八海とは、泉瑞・山中湖・明見湖あすみこ ・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖・四尾連湖しびれこの八つの湖で、この順番に巡礼を行っていたといわれています。
現在では、泉瑞で湧水の現場を見ることはできませんが、北口本宮冨士浅間神社ではその水源から引かれた水の素晴らしさを実感できますよ。

神楽殿は、1737年に富士講ら一同により建立されました。

神社の祭礼で神様に捧げる歌や舞である「太々神楽だいだいかぐら」が奉納される舞台であり、現在でもその文化は引き継がれています。

拝殿・本殿・東宮・西宮

引用:https://tabi.jtb.or.jp/res/190574-

奥に進み、見えてくるのは拝殿。美しい彫刻や装飾金具で飾られ、豪華な雰囲気を作り出しています。

そして、拝殿から奥をのぞき込むと、金色の扉が見える場所が本殿で、こちらは1615年に徳川家康の家臣である鳥居成次とりいなりつぐによって建てられました。

徳川家は「大阪夏の陣」で、豊臣家を滅ぼしたとされています。

本殿にある彫刻は、天下をとった徳川家の志が反映していると言われています。

本殿と合わせて楽しみたいのが、東宮・西宮です。

引用:https://fuji3po.com/yoshida/tourist/kitaguchi1.html

東宮本殿は、1561年に武田信玄が「川中島の戦い」の戦勝を祈願して造営しました。

一方、西宮本殿は、1594年に都留郡の領主である浅野左衛門佐氏重あさのさえもんうじしげにより造営されました。

拝殿・本殿・東宮・西宮、いずれも国指定重要文化財に指定されている大変貴重な建物で、当時の彫刻や彩色などの美しい装飾を楽しむことができますよ。

冨士太郎杉・夫婦ヒノキ

拝殿の左右には、樹齢約1000年を数える「冨士太郎杉」と「夫婦ヒノキ」のご神木がそびえます。

冨士太郎杉は、山梨県指定天然記念物にも登録されているスギの木で、自然と歴史の雄大さと神秘を感じさせます。

樹齢1,000年もの歳月を生き抜いてきたご神木は、訪れる人々に圧倒的な存在感と癒しを与えます。

夫婦ヒノキも、富士吉田市の指定天然記念物に登録されており、山梨県下で最大のヒノキの巨樹と言われています。

真上に向かって伸びていますが、途中で交差しており、その姿はまるで夫婦のようにお互いに寄り添おうとしていることから、夫婦ヒノキと呼ばれています。

登山門

北口本宮冨士浅間神社境内の裏手にあるのが、吉田口登山道の起点となる登山門です。

富士登山の4つのルートの中の一つである「吉田口登山道」を、麓から登る際の起点口として知られています。

ここから、富士山頂を目指して、登山道へ入っていきます。

山開き前日の6月30日には、「富士山開山前夜祭」というお祭りが行われ、この登山門に張られた しめ縄を木槌で断ち切る「お道開き」という神事も行われます。

御朱印・御朱印帳・おみくじ・お守り

御朱印は、御朱印帳への直書き・書置きともに受け付けがされています。

初穂料は300円!日付入りなので、旅の思い出にもなりますよ。

また、初穂料 2,000円で御朱印帳も販売されています。

富士と桜花流水の絵柄、そして桜の花柄が描かれたものの2種類。

桜花柄は、山梨県のこの地方で、古くから盛んな産業である「郡内織物ぐんないおりもの」で奉製しているとのこと。

郡内織物は、独特の光沢が魅力。富士の雪解け水を用いており、プリント生地とは異なる輝きがあり、多くの人から愛されています。

おみくじは、各神社にある伝統的で定番のものに加えて、限定の富士山と太陽・月がデザインされたものもあります。

参拝の思い出としても大切にできますし、ご利益を身近に感じられますよ。

お守りも、交通安全・厄除け・商売繁盛・勝負運・縁結び・安産などと、ご利益を感じられるものばかり!

特に、安産・子宝・縁結び・家庭円満は、ご利益があるとして特に人気があるとのこと。

是非チェックしてみてくださいね。

北口本宮冨士浅間神社へのアクセス方法

U.S
Writer at JAPANOPIA Editorial Team
In my 30s, originally from Kyoto and now based in the Kanto region, I have been passionate about traveling both within Japan and abroad since my student days. I love discovering hidden local charms while strolling through cities and towns.

A true nature enthusiast, I’m especially drawn to the sea and mountains—and I’ve even climbed Mt. Fuji! I also enjoy joining local events and festivals, valuing every opportunity to connect with Japanese culture and traditions.

Through my writing, I aim to uncover the deeper appeal of Japan and share insights that make every journey more fulfilling—whether it’s sightseeing spots, gourmet experiences, or outdoor activities.

By highlighting the many attractions of Yamanashi Prefecture, I propose travel ideas where visitors can also experience Japan’s unique spirit of hospitality (“omotenashi”).
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